自分を知る【姿勢編】
今回は姿勢編です。
”自分を知る”シリーズはこれで最後ですね。
理学療法士としては必ず意識してほしいところです。姿勢が崩れている状態での運動は身体を壊すリスクが高くなります。
実際にどんな姿勢が”良い姿勢”なのかの具体的なないようではなく、あくまでなぜ必要なのかをお話ししていきたいと思います。
なぜ良い姿勢を意識することが必要なのか?
そもそも良い姿勢を目指すことにはちゃんと理由があります。
過去に「猫背はやめなさいっ!」と指摘された経験はありませんか?
まぁ、理由を聞いても「見た目が悪いから」とか「だらしないから」などの返答であったような気がしますが。
それも間違いではありません。背筋が伸びている方が綺麗でカッコいいですよね。ただ、これだけでは良い姿勢を維持するきっかけとしては弱いと思いませんか?
良い姿勢を保つことで関節痛や神経痛を予防することができたり、太りにくい身体を作る効果があります。
このように言われると意識してみようと思いませんか?
良い姿勢が関節痛や神経痛を予防?
関節痛の多くは、普段の姿勢や動作において関節に負担がかかっていることに気づけず、関節へ負担をかけ続けることで生じます。
骨にはそれぞれ形があり、関節はその骨同士で形成されるモノですので負担の少ない位置関係というものが存在します。この位置関係を良好に保つことで関節への負担を減らし疼痛の発生を防ぐことができます。
神経痛には原因がさまざまありますが、そのうちの一つに関節の不整が原因で神経を圧迫して生じるものがあります。
代表例として脊柱管狭窄症などですね。脊柱も頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎が形成する関節がありますので正しい位置関係を保つことで神経圧迫を防ぎ、神経痛を出現しにくくする効果があるのです。
もちろん完全に防げるわけではありませんが、少なくとも慢性的なストレスを回避することによって発症のリスクを減らすことはできます。
良い姿勢は太りにくい?
基礎代謝という言葉は聞かれたことはあると思います。基礎代謝は筋肉量によって増減することも今では一般的な知識になっているでしょうか?
では、基礎代謝を上げるには筋肉の太さや柔軟性と並んで位置、長さが重要となることはご存じですか?
良い姿勢での運動は筋肉の位置や長さを整えてくれるので、筋肉が働きやすくなり、エネルギーをしっかりと消費してくれます。結果として太りにくい身体となるのです。
また、不良姿勢のままトレーニングを行うとエネルギー消費量が下がるだけでなく、筋肉の長さや太さがアンバランスとなり、スタイルが悪くなってしまうというわけです。
さてここまでは良い姿勢による恩恵を理由とともにお話ししてきましたが、すでに関節の変形があったり、その他の理由がある場合は”良い姿勢”はあきらめるのか?ということですが
関節の制限が改善可能なものか否かで話しは変わります。
関節の動きに制限があったとしても改善の可能な制限の場合はまず関節を動かすことから始めていきましょう。必要な関節の動きが得られたのちに姿勢にかかわる筋力を身に着けることで良い姿勢を手に入れることは可能です。
ただし、病気や変形によって関節の動きに制限があり、それが改善し得ない制限の場合や明らかに痛みを有する場合にはいかに負担を減らした姿勢であるかどうかが最も重要となります。見た目の問題は後回しです。
例えば膝を伸ばす角度に制限がある方が、背筋を無理やり伸ばそうとすると首や腰、膝に負担がかかってしまいます。
その場合は無理をせずに膝の角度に合わせてあえて背中を丸めたり、股関節を曲げて膝の負担を減らしたりと個別性のある姿勢を目指す必要があります。残念ながら個別性の高い姿勢は実際に身体状況を評価しないと話すことができません。
いかがでしたでしょうか。今回はなぜ良い姿勢をとる必要があるのかについて根本的な話をしました。もしかすると「結局どんな姿勢がいいんだ!」と思われる方もおられるかもしれませんが、真にその方に合った良い姿勢はその方の身体を評価しないとお伝えすることはできません。教科書的な良い姿勢については今後少しずつ話していこうかと思います。
今はいろんな動画で姿勢を強制するような動画がありますが、すべて鵜呑みにはせずに自分の身体を知ったうえで必要なトレーニングを選択していただきたいなと思います。
これで”自分を知る”シリーズは終わりました。
自分を知ることで今何をすべきなのか、どんなことに注意をして健康を維持すべきなのかが見えてくるかと思います。
無理なトレーニングは身体を壊してしまいます。人はそれぞれトレーニング負荷の許容量は異なるので自分を知り、自分をコントロールすることが健康の第一歩と考えます。
では今回はこの辺で。