肺炎後の後遺症?それって本当にコロナ特有?
「新型肺炎にかかると元の生活には戻れない」
なんて言葉をニュースなどでよく目にします。
ニュースで言われている息切れや体力低下はコロナ感染特有の後遺症ではなく、その他の肺炎でも見られるものです。
あたかもコロナ特有の後遺症のような報道のされ方ですが、肺にダメージを受ける病気のほとんどが息切れや体力低下を認め、退院後元の生活に戻るにはかなりの時間がかかります。
コロナだけではありません。
今回は新型肺炎も該当するウイルス性肺炎(間質性肺炎)を例に挙げて肺炎後の後遺症についてお話しします。
まず、間質性肺炎はその名の通り
「間質」
と呼ばれる場所で炎症が起きます。間質は肺胞の壁と認識ください。肺胞というのは吸い込んだ空気を血液中へ取り込む場所です。
間質で炎症が起きると肺が広がりにくくなるだけでなく、肺に酸素を吸い込んだとしてもそこから血管内へ酸素を取り込むことが阻害されてしまうのです。
そのため、間質性肺炎は
- 炎症によって肺が広がりにくくなり、肺に吸い込むことのできる酸素の量が減る
- 間質部の炎症により肺の中の酸素が血管内に取り込まれにくくなる
上記2点のダブルパンチを受けてしまうわけです。
ですが、打つ手がないというわけではありません。炎症が起きていない部分の肺がしっかり広がるように呼吸をコントロールすることと、少ない酸素でも動けるように筋力を鍛えてあげることで肺の一部の機能が失われたとしても補うことができるのです。
ではなぜ、後遺症によって日常生活へ戻れない方が出てくるのかというと、
- 元の生活のレベルが人によって異なる
- 病気による肺への障害の程度が異なる
- 肺の機能を補うだけの体力(筋力や心臓)があるか
これらの理由から肺炎後の後遺症の程度が人によって異なるのです。
病気による肺への障害の程度に関してはどうしようもありませんが、その他2点に関しては自分で改善することができます。
とくに体力づくりは肺炎に限らず病気後の日常生活復帰において一番大事なことですので、コロナ籠りの流行る今家の中でもかまいませんので筋トレや体操などで筋力・体力を維持することを心掛けてください。
日常生活へ復帰する際には急に元の生活は絶対に不可能です。
肺炎に限らず病気はたとえ完治したとしても「病気をなかったこと」にはできません。
必ず身体には病気の影響が残ります。
日常生活復帰と言っても最初は「家で生活ができる」くらいの認識でいてください。
「元の生活」ではなく「病院でなくても生きていられる」くらいの認識です。
そこから時間をかけても元の生活に戻していくのです。
退院はあくまで病院にいる必要がないから退院ですので、そこから普段通りとはいきません。
コロナ以外でも病気発症後に日常生活へ戻ることは楽ではありません。
もちろんひとりひとりコロナ対策はきっちりするべきと思いますが、正しい知識を持って正しく怖がってください。
それが医療逼迫を少しでも緩和し、多くの方々に最適な医療が提供できる医療体制へとつながっていくのではないでしょうか。