結局、正座は身体にとって悪いの?
「正座って身体にいいの?悪いの?」
その疑問はもっともです。
この質問はリハビリ中でもよく聞かれますのでここでもお話ししましょう。
結論から言いますと、
正座はオススメできません。
やめて欲しいのが本心です。
理由を説明しますね。
正座が良いとされる理由は
- 膝の深屈曲が求められるため、組織の柔軟性維持や膝関節の可動域練習となる
- 床からの立ち座りが下肢筋力維持につながる
といったところでしょうか。
たしかに、昔から正座を行う習慣があれば身体維持のためにも継続する方が良いと言えます。
深屈曲を継続することで皮膚やその他組織の柔軟性が保たれ、膝関節の可動域を維持することが可能です。
ですが、あくまで身体(特に膝関節)に問題がない場合の話です。
正座による身体への負荷(特に骨、関節への負担)は非常に大きく、膝関節を痛めてしまうリスクも高いのです。
年齢とともに筋力の低下や関節の変形がありえますので、このような変化が表れ始めると正座は一気に膝関節への負担を増やしてしまいます。
また、膝関節以外にも股関節や背骨に何らかの問題が出始めた際には正座を行うことでさらなる症状悪化を助長する危険性があります。
もともと膝関節の正常可動域は0°(伸ばした位置)から140°(曲げた位置)とされていますが、
正座はそれ以上の角度が必要となります。(150°以上ともいわれています。)
これらのことからもわざわざ正座をする必要はないと思います。
膝関節の可動域であれば椅子に腰かけたり、寝た状態で膝を抱えるようにすれば事足りますし、膝周囲の筋力もスクワットや重りを使用した方法で十分に鍛えることは可能です。
膝を傷める可能性のある正座をトレーニングとして行うことは推奨しません。
ちなみに、入院患者様が退院されるときに日々の生活で正座が必要かどうかで退院の可否判断が変わることがあります。
私としてはテーブルと椅子の生活で安楽な日常生活を送っていただき、生活とは別枠でしっかり運動の時間を設けて膝周囲をトレーニングすることをおすすめします。
今回の話はあくまで理学療法士としての私の意見ですので、今後の日常生活を振り返るときの参考にされてみてはいかがでしょうか。
今回はこの辺で。