意外に知らない。病院でのリハビリはどのように進んでいくのか。
病院で行うリハビリってどのようなものか想像できますか?
ドラマで見るような歩行練習や筋トレだけがリハビリではありません。
実際に入院もしくは外来でリハビリを経験されていないとどのような流れでリハビリが行われているか疑問ですよね。
今回は病院でのリハビリの流れをお話しします。
まずは簡単に流れを説明しますと
となります。
ただし、病院や主治医によってリハビリを指示されるタイミングが異なります。
一つは症状が落ち着いておらず、リスクが非常に高い中でもリハビリ開始指示が出る場合。
もう一つは、症状がある程度落ち着いてから指示が出る場合です。
最近の傾向としては症状が落ち着いていない場合でもリハビリ指示が出る場合が増えてきています。
早期のリハビリ介入により症状進行中も症状緩和が可能であったり、症状と直接関係のない部分をできる限り維持することが可能なのです。
それにより退院の可能性がぐっと増える場合があるので、早期にリハビリ指示が出ます。集中治療室などでもリハビリは行われていますよ。実は人工呼吸器が繋がったままでもリハビリは行います。
昔は主治医による治療が終わってからリハビリを開始する時代もありましたが、この場合は症状と直接的に関係のないところが弱りすぎてしまい、リハビリに膨大な時間が必要となることから現在はリハビリ介入が早くなっています。
このリハビリ指示の内容ですが、これまた主治医によって異なります。
疾患名と術式のみ記載されており、リハビリの流れや内容をすべて私たちに任せてもらえるパターンと、リハビリの詳細(例えば肘関節の可動域練習など具体的に)まで指示をいただけるパターン。
どちらでも対処できるように私たち理学療法士は疾患や術式の知識も保有していますのでご安心ください。その上で適切なリハビリ計画を立てています。
さて、指示が出るといよいよ利用者(患者)様の主訴を伺い、現状の身体機能や自宅での生活状況(生活に必要な動作や生活空間の状態)を評価していきます。
評価結果を踏まえて主治医と相談をし、リハビリの方向性を決定していきます。
相談内容はリハビリによって機能回復が見込めるのか、それとも機能回復は難しく、別の方法(物を使ったり、身体の動かし方を変えたり)を考える必要があるのかですね。
主訴がクリア可能な場合は身体的な機能の向上を目的としたリハビリ内容(筋力を上げたり、可動域を増やしたり、体力を増やすなど)を計画していきますが、
病気によっては身体機能の回復が見込めないことがあります。(例えば、重度の脳梗塞や切断、進行性の疾患等)
主訴内容が身体機能面だけでクリア不可能な場合は、クリアするためにそもそもの動作方法を変更したり、介助物品を使用した動作の習得を目指したり、自宅を改修する提案をしたりして自宅復帰までのサポートをしていきます。
あくまで病院でのリハビリは自宅復帰のサポートのため、自宅復帰に不必要と判断される内容のリハビリは基本的に行いません。生活動作がクリアできているにも関わらず、必要以上に筋肉を鍛えたい、やマッサージをしてほしいなどの要望には応えられないのです。
リハビリの仕事としては自宅生活が十分に可能と判断できる状態となれば主治医へその旨を報告し、その時点でリハビリ終了となるか、退院をもってリハビリも終了という流れになります。
退院後のリハビリフォローをしている病院としていない病院がありますので、していない場合は自宅生活への注意点や継続していただきたい自主トレーニングの指導を行います。
今回お話しした流れはスムーズな流れです。場合によっては見取りの方向の利用者様に対してリハビリを行う時もありますし、ご自身の病状を受け入れられず、リハビリどころではない方も少なからずおられます。
その場合にはまた流れが変わりますが、基本的な流れは今回お話しした流れになります。
いかがでしたか?
リハビリってそこまでするの?リハビリって思ってたトレーニングとは違うね。と思われた方もおられるかもしれません。
病院で働く理学療法士は退院後の生活を安全かつ安楽に過ごしていただけるように身体的、環境的に整えていく仕事と思っていただくと良いかと思います。
では、今回はこの辺で。
またのお越しをお待ちしております。